耳ツボダイエットの歴史

 発端は耳鍼、というよりも鍼麻酔の研究によるものでした。鍼麻酔はその効果よりも鍼の作用機序を初めて科学的に解明した大きな一歩となるきっかけになったという点で評価されています。1970年代は世界中で鍼と神経学的、脳内物質との関連が次々に明らかになった時代でした。
 このとき、香港の神経外科医、H.L.Wenと S.Y.C.Cheung医師らが、モルヒネ中毒患者のある手術を鍼麻酔で行った後、その患者に禁断症状が現れなかった、という現象から、鍼をつかった麻薬中毒に対する治療の研究がはじまりました。
 この鍼麻酔において耳の肺点というのは重要な役割を果たしていました。ではアルコール中毒患者に対してはどうか?やはり効果がある。ではニコチン中毒ではどうか?これにも効果があった。では食べ過ぎに対する中毒、つまり肥満に対する治療にたいしてはどうか?ということで耳鍼(というより鍼麻酔)のダイエット効果に対する研究が盛んになりました。

 このような医学的研究としての耳鍼に対する研究の背景には、当時アメリカで深刻な問題となっていた肥満に対する関心の高さと、またこの方法を用いてビジネスとする治療者たちの注目がありました。実際この時期にクボタ式は耳つぼダイエットを開始しています。クボタ式創始者の窪田丈氏は、1970年頃、シカゴで開かれた鍼灸学会で上記のWenらの発表に触れ、鍼ではなく金属粒を貼り付ける方法でダイエットビジネスを展開、日本での耳鍼(耳ツボ)ダイエットブームの発端となりました。